有形固定資産の取得原価の算定のまとめ

簿記1級で出てくる内容をまとめました。

実務では、税法の絡みもあるので気をつけてください。

1. 有形固定資産とは

 企業が長期にわたって利用する目的である実態のある資産。

2. 取得原価の算定

⑴ 通常の購入

 取得原価=購入代価+付随費用

⑵ 値引き

 値引きの場合は、⑴を基礎として、値引額分の減額を行う。

⑶ 買替え

 買替えの場合は、「旧固定資産の売却」と「新固定資産の購入」が同時に行われたと考える。

 旧固定資産の売却においては、時価よりも下取り金額が高い場合は、その差額は新固定資産の値引きと考える。よって、その場合は新固定資産の取得価額を算定するにあたり、値引分を減額すること。

 なお、旧固定資産の売却損益については、売却時の簿価と時価との差額から算定される。時価ではなく下取り価額を用いたりすることがないように注意すること。

⑷ 建物付き土地を取得した場合

原則は、時価との適当な評価基準を用いて按分計算を行う。

建物を新築する目的での購入

購入価額は全て土地の取得原価となる。

⑸ 交換

① 同じ種類の資産の交換

 有形固定資産に対する投資が継続しているものと考える。よって、譲渡資産の簿価をもって取得原価とし、売却損益の認識は行わない。

② 異なる種類の資産の交換

 ①と異なり継続性が途切れるため、いったん投資を清算するものと考える。よって、譲渡資産を時価で売却したものとして、売却損益を認識し、その対価で有形固定資産を新たに購入したものとして処理する。

⑹ 贈与

 時価をもって取得原価とし、固定資産受贈益に計上する。

⑺ 現物出資

時価をもって取得原価とする。

⑻ 建設仮勘定

契約時から完成、引渡しまでの当社支出額を建設仮勘定に計上する。

建設仮勘定は、完成引渡し時に適切な勘定へ振替える。

⑼ 自家建設

原価計算基準に従って計算した適正な製造原価をもって取得原価とする。

なお、固定資産が稼働する前に属する期間の借入資本利子は、取得原価に算入することができる。