実務対応報告第35号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い」の範囲に含まれる運営権者による公共施設等運営権の取得

 下記の内容は,自分で調べてまとめたものであるため,誤った情報が含まれている可能性がございます。その旨,ご承知の上でお読みいただければと存じます。なお,この記事は2024年10月14日時点の情報に基づいて記述しております。

 

 

公共施設等運営事業とは

 「公共施設等運営事業」とは,民間資金法第2条第6項によれば,特定事業であって,第16条の規定による設定を受けて,公共施設等の管理者等が所有権を有する公共施設等について運営等を行い,利用料金を自らの収入として収受するものをいいます。

 「特定事業」とは,民間資金法第2条第2項によれば,公共施設等の整備等に関する事業であって,民間の資金,経営能力及び技術的能力を活用することにより効率的かつ効果的に実施されるものをいいます。

 「第16条の規定による設定」とは,公共施設等の管理者等からの公共施設等運営権の設定をいうと考えられます。これは民間資金法第16条では,公共施設等の管理者等は,選定事業者に公共施設等運営権を設定することができるとしていることによります。

 「公共施設等の管理者等」とは,民間資金法第2条第3項によれば,次に掲げる者をいいます。

①    公共施設等の管理者である各省庁の長又は特定事業を所管する大臣

②    公共施設等の管理者である地方公共団体の長又は特定事業を実施しようとする地方公共団体の長

③    公共施設等の整備等を行う独立行政法人特殊法人その他の公共法人

 「公共施設等運営権」とは,民間資金法第2条第7項によれば,公共施設等運営事業を実施する権利をいいます。

 上記の内容を踏まえて,「公共施設等運営事業」の定義を換言しますと「公共施設等運営事業」とは,民間事業者による公共施設等の整備等に関する事業であって,公共施設等の管理者から公共施設等運営権の設定を受けて,公共施設等の管理者等が所有権を有する公共施設等について運営等を行い,利用料金を自らの収入として収受するものをいいます。

 結論としては次のようなものであるということができると考えられます。

 「公共施設等運営事業」とは,民間事業者による公共施設等の整備等に関する事業(特定事業)であって,次の特徴をすべて有するものをいいます。

①    民間事業者は,公共施設等の管理者又は整備等を行う者から公共施設等運営事業を実施する権利(公共施設等運営権)の設定を受ける。

②    民間事業者は,公共施設等の管理者又は整備等を行う者が所有権を有する公共施設等について運営等を行う。

③    民間事業者は,公共施設等について運営等を行ったことにより得た利用料金を自らの収入として収受する。

公共施設等運営事業における運営権者による公共施設等運営権の取得

 民間資金法第8条によれば、民間事業者による公共施設等の整備等に関する事業(特定事業)を選定したときは、その事業を実施する民間事業者を公募の方法等により選定します。選定された民間事業者は、公共施設等の管理者等が行う事業のうち、事業契約において当該民間事業者が行うこととされた公共施設等の整備等(公共施設等運営権が設定された場合は、当該公共施設等運営権に係る公共施設等の運営等)を行うことができます。すなわち、民間事業者に対して公共施設等運営権が設定された場合、当該民間事業者は公共施設等運営権を取得します。

 なお,このときに生じる「運営権対価」については,内閣府が公表している「公共施設等運営権及び公共施設等運営事業に関するガイドライン」を参照する必要があります。

運営権者による公共施設等運営権の取得をリース会計基準の適用範囲に含めないとされた理由

 リース会計基準第3項では,実務対応報告第35号の範囲に含まれる運営権者による公共施設等運営権の取得については,リース会計基準の適用範囲から除くとしています。

 リース会計基準BC15項では,実務対応報告第35号の範囲に含まれる運営権者による公共施設等運営権の取得について,リース会計基準の適用範囲に含めないとした理由は,実務対応報告35号において,当該運営権を分割せずに一括して会計処理を行うこととしていることから,当該運用権の構成要素についてリースに該当するかどうかの検討を行わないこととするためであるとしています。

 リース会計基準に記載されている理由は,実務対応報告第35号の検討結果を受けてのものであり,詳細な理由については,実務対応報告第35を参照する必要があります。